ブラウザー勉強会で気づいた事

先週の土曜日は「第3回ブラウザー勉強会」を開催しました。色々と興味深い (本当に興味深い、大切な事だから2回言いました) 話が多かったのですが、その中で印象に残っているのは、Mozilla の加藤さんマイクロソフトの春日井さんが今後のブラウザーのリリースのペースについて同じような事を言っていた点です。
つまりモダン ブラウザーでは HTML その物や CSS、さらに API などの新機能についての提案から議論、テスト的な実装、標準化のサイクルが非常に早くなっていて、それを実際のブラウザー製品にタイムリーに反映させようとすると、どうしても今までより早いペースでバージョンを上げて行かざるを得ないのだと、お二方とも話されています。
もちろん「早いペース」と言っても実際のペースは Mozilla とマイクロフトでは違うのですが、それでも今までのバージョン アップ サイクルよりこれからのバージョン アップ サイクルは早くなっていくという事です。実際に Firefox は「高速リリース サイクル」を公表して 6 週間ごとにメジャー バージョン更新を行うとしています。それに比べればゆっくりに見えるマイクロソフトでも、(今年 IE9 がリリースされたばかりなのに) もう IE10 のリリースがおそらく来年には行われる見込みで、今までのペースからすればとても早くなっています。
これが何を意味するのかと言えば、もうブラウザーの特定の「バージョン」のみを対象にしたシステムやサービス、アプリケーションの開発はあり得ないという事です。そうしたシステムやサービス、アプリケーションを開発している間に、ユーザーのブラウザーはどんどんバージョンアップしてしまいます。IE ですら、自動更新でどんどんバージョンが上がっていくのです。
では何をターゲットにすれば良いのか、それは HTML5 (広義の) に代表される Web 標準でしょう。幸いな事にバージョンアップを続けるブラウザーはどれも「Web 標準」をゴールにしています。ですからブラウザーで動作させたいシステムやサービス、アプリケーションも「Web 標準」をターゲットにすれば良いのです。
実際にはペースラインは比較的コンサバティブな IE でチェックし、先進的な機能はアグレッシブな Chrome でチェックしていくという事になるのでしょうが、あくまでも IE をターゲットにする、Chrome をターゲットにするという発想ではなく、「Web 標準」に対してどうか、という発想が求められるのだと思います。
IE6 をほぼ固定的なターゲットにして開発をしていた企業内システム向け開発者の皆さんには驚天動地の世の中になってきましたが (「ActiveXの未来はないと思います」とマイクロソフト エバンジェリストが言うくらいですから)、「Web 標準」特に (広義の) HTML5 で広がる可能性もあります。ぜひこの流れをキャッチアップして欲しい物だと思います。
だから、という訳ではないのですが、次回の「ブラウザー勉強会」は番外編として、IE10 を一つのベースラインとして、開発者やデザイナーにとってモダン ブラウザーとはどのような意味を持つのか (具体的には [広義の] HTML5 とは何か)、モダン ブラウザーに対応するにはどうすれば良いのかを伝える場を持ちたいと考えています。まだ企画段階ですが、ご期待ください。
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