Windows 7 の ”XP Mode” とセキュリティ

id:wakatono さんが既に書いているのだけど、Windows 7 で提供される "XP Mode" のサポート、特にセキュリティ関連のフィックスがどのようになるのか、ちょっと興味深い。

"XP Mode" という看板に掛け替えてもその実態は Windows XP SP3 のバーチャル マシンなのだから、当然これに対して影響があるセキュリティ脆弱性は XP Mode にも影響する。であれば XP Mode に対しても Windows Update なり何なりの方法で修正プログラムをインストールする必要が出てくる。
ホスト OS (この場合は Windows 7) は日常的に利用する事が前提だろうから、ユーザーが積極的に Windows Update を行わなくともいずれは (推奨の設定になっていれば) 自動更新で修正プログラムはインストールされる。しかし XP Mode の仮想マシンは主に特定のアプリケーションを動作させるために利用するのだから、場合によっては起動されるチャンスが少ない可能性もある。
例えば月次処理などで月に 1 回だけ XP Mode で特定のアプリケーションを使う....といった場合、使おうとする度に (月例の) 更新のインストールを求められる、という可能性も考えられる。これはユーザーにとっては面倒なだけの動作になってしまうだろう。
この辺りについてどのような配慮がされているのか、あるいは配慮は無いのか、XP Mode の「功罪」にも関わる部分だと思うので、興味深い。
Windows 7 であれば VHD を直接マウントする能力があるので、XP Mode の仮想マシンが起動していなくとも VHD 内をチェックして、必要に応じて自動的にファイルを置き換えてしまうような仕組みを作れば (他にも応用が利いて) 面白いと思うのだが...。

もう一つ興味深いのはその修正プログラムはいつまで提供されるのか、という点。
本来の Windows XP のサポート期間は (セキュリティ修正が提供れる) 延長サポートが 2014 年 4 月まで。XP Mode に対するセキュリティ修正もこの時で打ち切りなのか、それとも Windows 7 自体のサポート期間に合わせた形 (メインストリーム サポートが製品出荷から 5 年、その後延長サポート 5 年) となるのか、いずれになっても問題が少なくなさそうだ。
仮に XP 本来のサポート期間に合わせると、せっかくの XP Mode も安心して利用できるのは 4 年半位という事になりそうだ。もっともそれだけ使えれば (XP の RTM から数えれば 10 年以上!) 十分という気もするが、使えるものならまだ使っていたいというニーズも少なくはないだろう。
逆に Windows 7 に合わせるとなると、XP Mode ではない素の (つまり実機にインストールされた) XP との差が問題になるかもしれない。前述のような XP Mode に独自のパッチ適用方法があるのならともかく、起動した XP Mode 上で修正プログラムをインストールする、という方法しかないのなら、その修正プログラムは素の XP でも適用できそうだ。Microsoft から見ても、修正プログラムの開発・検証の手間は XP Mode だからと言って減る訳ではないだろう。
となると (機材が用意できるなら) Windows 7 を使わずとも XP をまだまだ安全に利用できる、という考え方も可能かもしれない。が、これは Microsoft にとってはあまりありがたくないシナリオだろう。

さて、製品リリースの際の実際のポリシーはどうなるのか。